心房細動と心不全


心房細動のアブレーション治療

心房細動は、心室細動と違って重篤な不整脈とは言えないかもしれません。しかし、長時間継続してしまうと、心房内の血液が滞留することにより血栓が発生してしまう事があり、脳梗塞の原因になることがあるといわれております。また、心臓のポンプ機能が低下することにより、心不全へ移行するリスクも増加してしまいます。生活のQOLを考えても無視できないものでしょう。先にお示ししましたアブレーション治療で心房細動を止めて正常な脈に戻すという治療が最近頻繁に行われるようになりました。

心房細動についてわかりやすく説明している日本ライフライン株式会社のサイトです。特に動画をご覧ください。

肺から左房に血液を流し込む肺静脈という血管から発生したノイズのような信号が、左心房に伝わることで心房細動を引き起こすケースが多いことが分かってきました。そこで、この肺静脈と心房の境目周辺を焼灼すると、ノイズから心房を守ること(これを隔離と言います)に成功しました。最近では、通常のアブレーションカテーテルを使用する以外に、風船(バルーン)を使用して焼灼(冷凍、熱、レーザーなど)する方法も頻繁に行われています。ただ、長期間心房細動が続くと、ノイズの発生源が心房内部に広がり、肺静脈周辺だけを焼灼したのでは治らない事があるようです。そのため最近では、左心房の背中側の面(後壁)と肺静脈をまとめて隔離する、ボックスアブレーションと呼ばれる方法も行われています。ただ、焼灼する距離が長いので高度な技術が必要であるとのことです。

この治療に興味のある方は、こちらへ。日本ライフライン株式会社のサイトです。

より詳しい内容ですが、このサイトもお勧めです。日本不整脈学会のサイトです。

心不全治療を電気刺激で!?(CRT治療)

心不全は、心臓のポンプ機能が低下した状態です。心不全状態の心臓では、左右の心室収縮が不同期な場合があります。その場合、電気刺激を使って同期させることで、ポンプ機能の向上を見込める事が分かりました。この治療はCRT(心臓再同期療法)と呼ばれ、日本でも2000年を過ぎたころから行われています。

興味のある方は、こちらへ。不整脈デバイス協会のサイトです。

CRTは、ペースメーカやICDと類似した本体に、心房リード1本と左右の心室用に2本、計3本のリードで構成されています。ICDのように除細動機能があるものをCRT-D、ないものをCRT-Pと呼んでいます。患者さんが心不全ということですので、心室細動のリスクが高い方が多いため、CRT-Dを使用される場合が多い様です。ペースメーカー・ICDと異なり左室側にもリードを挿入しなければなりません。心臓の筋肉で使用された血液が右房に戻ってくる、冠静脈洞(かんじょうみゃくどう)を入口にして、左室に向かう分枝にリードを挿入する、という高度な技術が必要です。また、事前検査で有効な刺激位置を想定しておくことや目的の場所にリードを挿入するための静脈走行など詳細に吟味する事が必要で、治療の成功率は、これら技術力と事前準備によって大きく異なるといわれております。

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